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思春期編その10「進路はあらゆる視点から見る」

親子コミュニケーション

 前項では、親の思うとおりに子供は育っていかないことをお話ししました。

 それでも親ですから、〈こうなってほしい。こうした方がいい〉という思いはあるでしょう。ただそれが行き過ぎると〈親の思うとおりに進むことこそが正しく、そこから外れることは認めない〉という極端な思い方で子供の将来をしばることにもなりかねません。

 親の思いに、子供の希望や能力が見合っていれば、めでたく進学高校や大学、難関学部に入ることにもなるのでしょうが、最初からレールに載せることを目的にするのはいかがなものでしょうか。それでは、子供を将来、人の役に立つ自立できる大人に育てるという視点からズレてしまってはいないでしょうか。

 目的は果たしたけれど、学校や大学に行かなくなった、家から出なくなったという事例もあります。学校に行かず、仕事もせず、就労訓練も受けないようなことになっては、もったいないことです。

 〈このコースに進むことこそが幸せ〉というのは、親の思い込みであり、勘違いなのです。〈このコースに進んだら伸びてくれる、自活できる力を付けてくれる〉と、子供の将来を思えるようでいたいですね。

 そのためにも、本人の能力、好きなこと、できそうなこと、続けられそうなこと、環境など、あらゆる視点から子供を見る力を親自身が養っていきましょう。

『芸生新聞』2022年8月15日付掲載

臨床心理士の考える子育てのヒント

1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。

川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師

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