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思春期編その22「誰かに相談しても判断するのは親」

親子コミュニケーション

 子供が困った状態に陥ると、誰かに相談したくなるものです。以前、「ネットに掲載されているものは、あなたの子供のことについて書いてあるわけではない」と言いましたが、幼いころからよく知っている、ママ友や担任の先生だったら〈この子のことを分かってくれているから、自分と同じ目線で考えてくれるはず〉と思えるでしょう。
 確かに、その子のことについてはネットよりは知っているとはいえ、困った状態の親子に対し「そんなことしていてはダメよ」「こうしていかなきゃ」とはなかなか言えないものです。
 実際は、ほとんどの方が「それでいいんじゃない」「きっと時間がたったら解決していくわよ」「そっとしておいてあげたら」などと、耳当たりのいい、当たり障りのない言い方をするものです。それが当たり前なのです。ということは、周りが言ってくれる言葉が、必ずしもベストではないかもしれない、ということです。
 例えばママ友から「うちの子ったら、全く勉強しないのよ。成績も下がってきたし」と言われたら、あなたは何と答えますか?
 あなたの知る限りでは、挨拶をきちんとするし、友達もいて、部活も頑張っているようなら、「大丈夫よ。根はいい子だし、塾に行っているなら、そんなに心配しなくても」と、当たり障りのない言い方をするでしょう。
 その子の家庭での様子を知っているわけではありませんから、無責任なことは言えません。結果、「いいんじゃない」となるものなのです。実際、私が受けた相談の中にも、不登校になった子供のことを他の人に相談したら、「(今のまま、そっとしておいてあげる方が)いいんじゃない?」と言われた方が、かなりいらっしゃいました。
 そしてその相談者に「あなたなら、不登校の子供を持つ親に何と言いますか?」と聞いてみると、同じように「それでいいんじゃない? と言います」ということなのです。いくら幼なじみで、赤ちゃんの時から知っていたとしても、家族だけに見せる子供の顔は分からないので、そんな言い方になってしまうのです。
 子供に無理をさせてはいけない、子供の人権を守らないといけない、といわれている世の中です。そこから導き出される返答は、耳に優しい言葉になるのです。もちろん、虐待やいじめから子供を守らないといけません。それと、単純に嫌なことがあったから学校に行きたくないわがままとは、区別して判断しないといけません。
 しかし、そこまで分かって話してくれる人はまずいないでしょう。おばあちゃんおじいちゃんなら、まだ、家庭のことが分かってアドバイスすることはあるかもしれません。それでも、親の代わりにはなりませんから、親が自分で判断し、わが子としっかり向き合う勇気を持つ必要があるのです。

『芸生新聞』2023年8月7日付掲載

臨床心理士の考える子育てのヒント

1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。

川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師

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