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思春期編その12「大所高所から見る目線を持って」

親子コミュニケーション

 子供に目指したい方向があるなら、かなえるのが難しいものであっても、親なら応援しつつ、子供の言葉尻を取ることなく、冷静な大人の目線を持つよう、前項で触れました。

 子供が全く届きそうにない希望なら冷静でいられるかもしれませんが、頑張れば届くかもしれない、という辺りの進学希望なら? それはもう、全面協力をしたくなるでしょう。そこで気を付けたいのが〈希望をかなえることこそが幸せで、それがかなわないならもう終わりだ!〉的な発想に、親子で陥りがちな点です。

 子供は大人と比べると、将来を考える力も弱いですし、人生が思いどおりにはならないことも十分には分かっていません。長い人生には、いろいろなことがあって、そこを乗り越えていく、何とかなっていくと伝えていくのが大人です。それにもかかわらず、〈これがかなわないと、この子がダメになってしまう。つぶれてしまう〉というような思い方になっていくとすれば、親子で苦しくなっていきます。親は〈何とかなる、どうにかなる〉と視野を広げ、固執しない物の見方を備えておいてほしいのです。

 親がまず、自分にそういった傾向がないかを省みて、〈これでないとダメ、かなわないとダメ、幸せにはなれない〉という偏った固定観念がないかを考えてみてください。子供が努力をし、親はそのために協力する姿勢でいながら、ぜひ広い視野、大所高所からの目線を持っておいてほしいのです。それが親力なのです。

『芸生新聞』2022年10月3日付掲載

臨床心理士の考える子育てのヒント

1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。

川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師

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