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コラム
思春期編その13「親が自信を持って育てることが大事」
親子コミュニケーション
思春期は、〝悩み揺れる〟時代です。自分のことがまだよく分かっていなくて、不安を抱えたり、自分に自信を持てなかったりすることがよくあります。
同時に、夢を持ったり、なりたいものを目指したり、〈なれそうな気がする〉〈頑張ればいけそう〉などと可能性を信じることができる年頃でもあります。
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そのどちらもがあって揺れるのが普通なのですが、時に不安ばかりで自信のないお子さんにお会いすることがあります。親御さんから話を聞くと、親御さんもまた自信がない。
「この子、自信がないようですね?」と聞くと、「そうなんです!」と即答されますが、話を進めるうちに、ふと「私自身に自信がないんですね」と気付かれます。
子育てに悩むのが当たり前で、それは悪いことではありません。ただ、最終的に〈この子なら乗り越えてくれる。何とかなる〉と思えず、漠然と〈ダメかもしれない〉と思うとすれば、その気持ちは子供に伝わります。
口では「大丈夫」と言っていても、子供は〈どうせ自分はダメなんだ〉と思ってしまう。親子の不思議さで、親の心の中にあるものが、伝わってしまうのです。〈自分のことは何とかなる〉と思えても、「子供のことになるとそうは思えない」と言われる親御さんも多いのです。
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〈自分が何とかできるのなら、この子も何とか乗り越えるだろう〉と思えたら良いですね。〈大変でも大丈夫だよ。乗り越えられるよ〉という大らかな気持ちでいると、子供に自信を付けてやることができます。
勉強やスポーツで、良い成績を残すことでも自信は付きますが、子供時代は何より親の自信と、〈この子は大丈夫!〉という思いが大きな影響を与えます。つまり、子供の自信は親次第、ということなのです。
『芸生新聞』2022年11月14日付掲載
臨床心理士の考える子育てのヒント
1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。
川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師