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子育ての中にはいろいろな発見があります。親として、何かを感じ、経験し、学んだこと…。それは自分にとっても周囲の人にとっても大切な宝。その発見の感激を毎回手記でお届けします。

「だって、見えないんだもん」~子どもの言うことに耳を傾けていますか~ Episode1

子育て web限定
ペンネーム
だんご虫
年齢
30代
家族構成
夫、長男(5歳)、次男(1歳)、三男(生後1か月)

長男は、幼い頃からよくテレビに近づいて見ていました。小さいうちはまだ、視力が発達しておらず、よく見えていなかったのだと思いますが、今後のことを考えて、毎回「目が悪くなるから離れて見ようね」と伝え続けてきました。
しかし、3歳になってもべったりとテレビに近づいて見ていて、顔とテレビがくっつくほどの距離の時もありました。注意をすれば数分は離れて見ていますが、目を離すとまた近づいているという状態でした。
仕事の関係で、職場で子どもを遊ばせている時期がありましたが、上司や周りの先輩から、「○○君、テレビに近すぎない?」としょっちゅう注意されていました。
〈自分のしつけがなってないんだ、きちんと言い聞かせなければいけない〉と思う心と、仕事をしながら毎回毎回、テレビから離れるよう注意をする手間にイライラとすることが増えていました。
心の中で〈この子は一体何回言えば分かるんだろう、まったく〉とさえも思っていましたが、長男はいつも「だって、見えないんだもん」と言うばかりでした。
4歳になっても相変わらずテレビに近づいて見る状態が続きました。それどころか、足元にあるおもちゃにさえも気付かず、私が「そこにあるでしょ、そこ!」と指を指して教えても、「え?どこ?分からない」と言うのです。

息子の視力に愕然

注意力がないのか、探す気がないのかと思っていましたが、しばらくして長男の視線に違和感を感じるようになりました。テレビを見る時に、目が少し寄っているようでした。
さすがにこれはおかしいと気付き、眼科へ行くと、「両目とも重度の遠視で、矯正することで回復することもありますが、あと1年でも早く矯正を始めていたら回復の可能性は高かったですよ」と言われました。
その時の視力は0.1以下で、「これがお子さんの現在の視力です」と渡された視力を合わせるための眼鏡をかけてみて、言葉を失いました。ほとんど見えず、そばにいるわが子の顔さえはっきり見えなかったのです。
子どもの目の異状に気付き、眼科に行って、ほんとうにこんなに見えていなかったのだということが検査して初めて分かりました。
こんな状態で4年間も毎日生活をしてきたなんて、そのことに気付いてやれなかったなんて、なんてひどい母親なんだと自分を責めました。何度も耳にした「だって、見えないんだもん」「分からないよ」は、長男の素直な言葉だったのだと初めて気付かされました。一度でもその言葉に耳を傾け、長男の心を理解しようと努力していれば、もっと早く気付けていたかもしれません。

『脱!石頭かあさん』

現在、長男は視力矯正の眼鏡を毎日かけて過ごしています。嫌がらずにかけてくれていることが、ほんとうにありがたいと思っています。
視力のことを考えると心が苦しくなることもありますが、子育てはこれから先も続きます。長男の人生も続いていきます。
〈子どもの行動が理解できない〉〈それは許せない〉〈これはさせたくない〉〈さっき言ったでしょ!〉。こう思って叱ったり、注意したりすることは親なら誰でもあるのではないでしょうか。そして私の場合、それは常識だから、決まりごとだから、子どもの健康を思ってのことだから言っている、ということが結構あります。そんな時はたいていが押し付けになっていて、子どもの心を知ることが犠牲になりがちです。子どもの心に寄り添った上で伝えるべきことを丁寧に話す。それが親の仕事だと気付きました。
まだたくさんの言葉を話すことのできない2、3歳児にとって、石頭のお母さんほど困った存在はいないのではないでしょうか。そう思って日々〈脱!石頭かあさん!〉を心掛けて暮らしています。
ごはんの前に急にお菓子が食べたいと言ったら〈食べたいんだなあ〉とまず思ってみたり、寝る時間になってもまだ遊びたいと言ったら〈なぜそんなに遊びたいのだろう?どうしてだろう?〉と考えてみたりするようになりました。いつもいつも、良いお母さんではいられませんが、少しずつでも子どもの気持ちが理解できる親を目指したいと思っています。

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