暮らしを彩る出版社
コラム
子育ての中にはいろいろな発見があります。親として、何かを感じ、経験し、学んだこと…。それは自分にとっても周囲の人にとっても大切な宝。その発見の感激を毎回手記でお届けします。
「子どもの無くしもの」~後回しにしていることってありませんか?~ Episode2
- ペンネーム
- ぴよぞう
- 年齢
- 40代
- 家族構成
- 夫、長男(6歳)、長女(6歳)、次男(4歳)
小学1年生の息子が学校に慣れてきた4月末の出来事です。下校した子供の名札が見当たらないのです。そもそも、自分で片付ける場所を決めていなかったことは大きな反省ですが、〈そのうちどこかから出てくるさ…〉と軽く考えていました。
しかし「名札を無くすなんて…」と夫は落胆の表情です。一応、部屋中を探しましたが出てきません。連絡帳経由で担任の先生に謝ると「了解しました。だいじょうぶですよ」との返事でした。〈早く見付けなければ〉と思いつつも、日常の雑用に追われて意識が薄れてしまっていました。
1週間後、「名札を着けないまま登校するのは良くないから、新しい名札を買いますと先生にお願いしてほしい」と夫は言います。夫の言うとおり連絡帳に書くと「1年生の名札は特別ですので、もう少し探してください。見付からない間は無くてもだいじょうぶですから」とのことでした。先生の回答に救われたこともあり、〈集中して探せばそのうちきっと見付かるはず〉と、私はますますのん気な気持ちになってしまいました。
名札を無くして1カ月が過ぎたころ、夫に言われました。
「連絡帳に1年生用の名札でなくていいから、買わせてほしいって書いて」
「先生も見付かるまではなくてもいいって言われるし、ちゃんと探せば出てくるのだから買うなんてもったいないよ」
「じゃあ、少しは探してるの?」
「探そうとは思っているけど毎日いろんな用事があるから時間が無いの」
「今日からはご飯も作らなくていいから、とにかく何もせずに名札を探して」
夫はとがめた口調で私を責めます。私は「私一人のせいなの? そんなに言うなら、夜ゲームなんかしてしないで、あなたも必死で探しなさいよ」という思いをどこまで口にしたかは記憶にありませんが、大部分はしたことと思います。夫も私も口も利かない状態になっていました。
子供を通して気付いたこと
平日は来客がないかぎり2人だけなので、その日の険悪な雰囲気といったら…。それでも祈りながら、家中のあらゆる場所を探しました。お昼になると夫は自分のご飯だけをさっさと作って食べ、仕事上の必要事項を伝えてもそっけない態度を取ります。ますます腹立たしくなり、悲しくもなりました。
買い物のついでに、ファストフード店のシェイクで自分を元気付けようと、ドライブスルーのレーンに入ると、何とシェイクの機械故障中。落胆と悔しさを抱えつつも買い物を済ませ、帰宅しました。
駐車場に着いた私に向かって、夫が「すみませんでした」というのです。〈何があったの?〉 夫がこんなに丁寧に私に謝ってくるなんて前代未聞です。聞くと私の留守中に、次男が友達にかまれたと幼稚園から電話があったというのです。正に夫婦げんかの真っ最中に子供もけんかをしていました。
友達の使っていたおもちゃを「貸して」も言わずに取り上げ、その子が怒ってかんだことがけんかの原因でした。口も利かずにいた私たち夫婦と同じだ、と夫は反省したようです。幸い、子供に大したけがは無く、問題に発展することもありませんでした。
その後も名札は見付かっていませんが、学校で1年生用の名札を販売していることを知り、購入しました。
夫は「名札を着ける」と決められている規則を破ったまま平気で登校する在り方、またそれが子供の精神的成長に与える影響を懸念していたのでした。私は、〈名札が無くても学校に行けるし、困る訳ではない…〉と軽く考えていました。夫がそこまで気にする理由を聞くこともせず、その気持ちをおろそかにしていました。
この名札の一件で、事柄の内容よりも、夫の気持ちを理解することの大切さを教えてもらいました。そこを思い改めた時に、〈名札も見付かるのではないか〉と淡い期待を抱きつつも、まだ出てきていません。
私たち夫婦はまだまだだぞ、ということかな…。
あなたにお勧めしたい商品
てがみでこんにちは 小学校低学年 -子どもに、親に、伝えたいー
お父さん、お母さんは子どもさんの話をていねいに聞いていますか?笑顔や明るい会話を心がけていますか?
できなかったことがひとつでもできるようになれば、家の中がきっと明るくなることでしょう。