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プロとアマチュアの違いは何か…。 自分の仕事に誇りを持ち、より充実した生活を送るためのヒントが満載。きっと誰もが今からでも変われます!本当の「自分」を発見し、マンネリズムから脱出しよう。 1982年(昭和57年)から1984年(昭和59年)までに連載された、芸術生活社発行『自己表現』の「プロフェッショナル研究」を原文のままお届けします。

「自分と自分の仕事を卑下するのは止めようⅠ」プロフェッショナル研究 Chapter3-1

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1億円稼ぐ男は5千万円稼ぐ男より倍も偉いのか? プロの条件を金の亡者は見誤ってはいないか? もう一回生まれてもこの仕事を、プロのハートには誇りと愛着がある

サッカーのワールドカップ大会がスペインで開かれることになった。
四年に一回、世界的規模で開かれるビッグ・イベントである。
前回は、今世界中の耳目を集めている国アルゼンチンが優勝した。そのチームの中心選手はマラドーナであった。
サッカーのワールドカップを語るとき必ず話題になる選手はブラジルのペレである。
とにかくすごい選手で、彼を中心とするブラジル代表は三回連続してこのワールドカップに優勝し、前回、彼が引退したためブラジルは、一回も負けないのに、つまり得点力が弱まって引分けが多いため、優勝できなかったというぐらいのものである。
ブラジルが三度目の優勝を果たした年の翌年、おしえおや様(注1)のお伴でリオ・デ・ジャネイロへ行った私は、世界最大の競技場マラカナ・スタジアムを見学に行った。
まあ何とも馬鹿でかい競技場だった。
収容人員二十五万。甲子園の五倍、西武球場(注2)の八倍の観客席が全部屋根つきである。
マラカナは、ワールドカップがブラジルで行なわれたとき、主会場としてつくられたのだそうな。残念ながらそのとき、ブラジルチームは圧倒的優勢を伝えられながら決勝戦で敗れ二位だったという。
「失望落胆していたブラジルのサッカーファン(ということは全ブラジル人ということです、と案内してくれた人が笑いながら言っていたが)に歓喜をもたらしてくれたのがペレなのです」
大会の得点王になって初優勝。次の大会で連続優勝。そして三連勝。全部ペレの活躍の賜物なんだそうな。
そしてその人は最後に付け加えて言った。
“He made a big money”
ペレの偉大さが分かったか、と言いたげな口ぶりだった。
何しろこれまでの説明は全部英語だった。そして私は英語に弱い。たぶんとんちんかんな受け答えをしていたんだろうし、ペレのプレーがいかに素晴らしかったかという話は技術的にも高度すぎて、たとえ日本語でも理解しかねたことだろう。
さっぱり分かったようでない私をみてその人は「この日本人はペレを、つまりサッカーを知らん奴だ」と思ったらしい。そこで万国共通の価値である“Big money”を持ち出してペレの偉大さを納得させようとしたらしい。
だから私もそこでラテン風の大げさな身ぶりで両手を上に上げ
“Oh, I understand he is a great footballplayer!!”
と叫んでやった。
ところで今回のプロフェッショナル研究はこれがテーマである。
プロは金のために働く、という。だから金をたくさんもうけたプロが偉大なプロだ、ということになる。

つづく

月刊『自己表現』1982年8月号から原文のまま

(注1)パーフェクト リバティー教団第二代教祖 御木徳近氏
(注2)現・メットライフドーム(旧・西武ドーム)。1982 年当時はまだドームの架設もなく、西武ライオンズ球場(通称・西武球場)の名称だった

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