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プロとアマチュアの違いは何か…。 自分の仕事に誇りを持ち、より充実した生活を送るためのヒントが満載。きっと誰もが今からでも変われます!本当の「自分」を発見し、マンネリズムから脱出しよう。 1982年(昭和57年)から1984年(昭和59年)までに連載された、芸術生活社発行『自己表現』の「プロフェッショナル研究」を原文のままお届けします。

「常に全力を尽くして生きようⅠ」プロフェッショナル研究 Chapter7-1

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もっとラクにやったらいいじゃないか……
悪魔の囁(ささや)きにうなずいたとき名人は凡人になる。

「太郎に目が出りゃ鬼より怖い」
関西方面で昔はやったことわざのようである。太郎ってのは落語の与太郎みたいに、大して取り柄のない男のこと、目が出るというのは運が向く、調子にのるという意味らしい。
今年の野球界は、そのことわざにぴったりの現象がやたらに起こった。まずその発端は夏の高校野球大阪府予選。春日丘高なんて聞いたこともない学校がPL学園に勝っちまった。それもあの榎田、春の甲子園で宿敵箕島高を力の投球でシャットアウトした好投手が、とんでもないところでバックスクリーンに入るホームランを打たれての敗戦だった。
目が出た太郎じゃない春日丘高は、勢いにのって近大付高や北陽高という名門をも打ち破り、甲子園初出場。どうせイチコロだわいと思っていたら、組み合わせにも恵まれて一回戦を勝ってしまった。
その甲子園でも池田高なんて、どう見てもうまいチームとは思えぬところが、並みいる強豪を片っ端から撃破して、あっさり栄冠を手にしちまった。
大学野球でも、自他ともに許す実力ナンバーワンの法大が早大に負けるやら、京大が関大に勝つやら、大番狂わせが続出している。
プロ野球でもそうだ。まさか巨人が中日に優勝をさらわれるとは思わなかった。九月から十月にかけての中日の進撃は、太郎に目が出りゃ鬼より怖いの典型だ。この分じゃ明日から始まる日本(<編注>)シリーズでもあっさり四連勝しちまうんじゃないかな。
<編注>残念ながら、もしくは喜ばしいことに、結果は西武ライオンズが四勝二敗で勝ちました。いつまでも太郎には目が出ません…。
こういうことはときどき起こる。それが自分に起こったときは良い。波にのってぐいぐい押して行けば良いんだから、注意することと言っても、調子にのりすぎておとし穴に落ちないようにしろというぐらいのことだ。
問題はそれが相手に起こったときのことである。調子づいた相手が幸運も手伝って押してくる。こっちはひたすら守勢にまわって嵐が過ぎるのを耐えて待つしかない。こんなときである。
仕事の世界でもこういうことは起こる。せねばならない仕事は次々に起こってくる。とても全部には手が廻りそうもない。成績はちっとも上がらないし、その間にライバルが調子を上げてぐんぐん差をつけてくる。いったいどうしたら良いのか、とわめきたくもなるが、わめいてみてもやかましいだけで解決にはならない。
こんなとき気分転換と称して酒を呑んだり麻雀やゴルフをしたりする人が多いが、それは要するに一時的に逃げているだけであって、本当の問題解決には遠いのである。その点では大声でわめくのと大差はない。
酒やゴルフや麻雀を悪いとは言わない。だがそういうものは、人間が楽しむために神様が下さったものであって、面白くない気分で酒を呑んだり、うさばらしにゴルフや麻雀をしたのでは心から楽しめないから、そういうもの本来のいのちを全(まっと)うさせることにならないと言うのである。もの本来のいのちを全うさせないのだから、そういうことはその人のいのちさえ蝕(むしば)むことになるのである。
さて、そこでそういう逃げ腰はやめるとしてどうするか、である。

つづく

月刊『自己表現』1982年12月号から原文のまま

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