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プロとアマチュアの違いは何か…。 自分の仕事に誇りを持ち、より充実した生活を送るためのヒントが満載。きっと誰もが今からでも変われます!本当の「自分」を発見し、マンネリズムから脱出しよう。 1982年(昭和57年)から1984年(昭和59年)までに連載された、芸術生活社発行『自己表現』の「プロフェッショナル研究」を原文のままお届けします。

「常に全力を尽くして生きよう」プロフェッショナル研究 Chapter7-3

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7-3

忙しいんだろ? ただ言葉を並べろよ。それでもみんなは喜ぶさ。原稿用紙がランドルフをあざけり、こう囁いたが……

そっちのほうは、いくら忙しくやってみてもさっぱり進展しない。しかも大教会の主任牧師としての日常業務は、待ったなしで押し寄せてくる。それに対処する部分を引用しよう。いろんな雑用を次々に処理する場面で、
――つぎは週刊新聞の論説。彼は原稿用紙を取り出してにらんだ。原稿用紙がにらみ返してきた。そして彼をあざけった。こう言っている。
「何も言うことがないんだろう。しかし何か言わなきゃならない。ただ言葉を並べたらどうだい? 信仰とか祈りとか、献身とかいう敬虔ぶった言葉をちりばめて。専門用語ならお得意だろう? 説教師はみんなそうだ。忙しいんだからそれで時間の節約になるぜ。別に悪いことじゃない、みんなありがたいお言葉だと喜ぶさ」
ランドルフはふとその誘惑にかられた。だが彼はフットボールの選手として、また牧師として、一度自己の技術の基準を下げたら、また次もそうすることになるのをよく知っていた。そうなれば、じきに鋭利な能力の刄先を失うことになる。プロとして、せめて自己の才能を保ち続けるだけはしなくては――
どうだい。こういうところがときどき出てくるから、私はこのシリーズが好きなんだ。
もちろん推理小説としてもすこぶる面白いものだからではあるが。アメリカ物やイギリス物には、大して読む価値もなさそうな安手の探偵小説にさえ、思わず吹き出すようなユーモアや、考えさせられる警句があって楽しい。推理小説としての面白さに差はなくとも日本の作品にはこういうところが少ない。
そのへんに何とも言えぬ文化の差を思うんだなあ。
仕事の波におぼれそうになるとき、人間はつい安易なほうへ流れがちなものだ。忙しいんだからしかたがない。難しいところなんだからこれで良いことにしておこう、などと考えるのはよくあることである。
原稿用紙ににらみ返されて、誘惑に負けそうになるなんてところは、毎週あるいは毎月原稿に追われている私には本当によく分かる。
一度自己の技術の水準を下げたら、次もそうすることになる。――ショッキングな言葉だと思わないか。プロとして、せめて自己の才能を保ち続けることぐらいはしなくては――参ったねぇ。
常に全力を尽くせ、という古い教訓も、こんなふうに現実に即した形で語られると、また新しいものとしてよみがえってくる。
もしもそば屋が、生煮えの品物を客に出し「何しろ忙しいもんで……」と言ったら。
もしも洋品店が、仕立ての乱雑なセーターを売り「仕事がたてこんでるもんで……」と弁解したら。
もしも君が、計算が合っていない書類をそのまま提出し「忙しくて……」と言ったら。
それは苦しまぎれにドまん中へ直球を投げこんで痛打された、あのときの江川のようなことになる。あれから江川は勝てるところも勝てない、フツウの投手になっちまった。そして巨人は中日に優勝をさらわれた。
調子が悪ければ悪いなりに投げて、点を取らさないのが良い投手だという。麻雀はツカないところをしのいでうまくなるんだ、ともいう。
一つひとつきっちりやって行こう。それがプロフェッショナルとして、長く生きて行くための最大の条件なのだ。

月刊『自己表現』1982年12月号から原文のまま

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