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プロとアマチュアの違いは何か…。 自分の仕事に誇りを持ち、より充実した生活を送るためのヒントが満載。きっと誰もが今からでも変われます!本当の「自分」を発見し、マンネリズムから脱出しよう。 1982年(昭和57年)から1984年(昭和59年)までに連載された、芸術生活社発行『自己表現』の「プロフェッショナル研究」を原文のままお届けします。

「ピンチを切り抜ける力はどこに」プロフェッショナル研究 Chapter13-1

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13-1

「たら」や「れば」を振り捨て、今すべきことに集中するスタミナが勝者をつくる。

五月十五日の日曜日は面白そうなスポーツの試合がたくさんあって、
テレビを見るにしてもどれを見て良いか迷うほどだった。
だからコマーシャルになるたびにあちこち
カチャカチャ、チャンネルを回していろんなものをこま切れで見た。

その中で最後に私をひきつけたのは、
日本プロゴルフ・マッチプレー選手権の決勝戦であった。
当然優勝するものと予想していた青木が二回戦で泉川ピートに敗れ、
その泉川が重信なんて聞いたこともない選手に敗れ、
決勝が中島と重信という組み合わせになったと聞いたときは、
ああ、これで中島の楽勝だと思い、
もともとゴルフにはそれほど興味はない方だから
テレビを見る気にもなれなかった。
ところが、ちょっと他がコマーシャルになったので
そのチャンネルにしてみたら、何と重信が二アップ、
つまり二点勝っているというじゃないか。

それじゃ見ようかってんで、それからは、早法戦、
これも私の母校ワセダとPL学園出身の西川佳明投手
(例のセンバツで優勝した時のエース。
「何でワセダじゃなく法政なんかに行ったんだ」と文句を言いたくなるが)
との対戦を見ながら、チェンジになるたびにゴルフを見た。
さすがに中島は一流選手で、後半になってからタイに追いつき、
とうとう逆に一アップとなった。

檜舞台に初登場の重信は、あのあたりから、ちょっと押されぎみ、
と言うより自分で自分のペースを崩して行ったように思えた。
逆に中島は自信満々、ずいぶん危い場面もあったのに、
その度に解説者が「信じられない」を連発するほどの
スーパーショットを見せてリードを守っていた。
何せ、林の中へ叩きこんで、小高くなっているグリーンは見えないし、
その上目の前に木が三本も立っていて、
一メートルぐらいのすき間を通さなきゃグリーンの方向へ
飛ばないなんてピンチになりながら、
そこからオンさせるんだもんな。

おどろいたなんてもんじゃなかった。
そんな中島にも絶対的なピンチがあった。
パー四のホール、中島が一アップだったから
三十六ホールマッチの第二ラウンド後半、十五番だったかな。
重信はツーオンしてるのに中島はトラブルショット
があってボギーになった。
重信は八メートルぐらいピンから離れてはいるが、
とにかくグリーンにのっている。

プロならツーパットでおさめるのは無理じゃない。
それどころか九十パーセントぐらいの確率があったろう。
ところが重信はこのファーストパットをちびってしまい、
三メートルぐらいのところまでしか寄せられず、
とうとう自分もボギーにして、
オールスクエアにするチャンスをのがしてしまった。
一ダウンで最終十八番を迎えた重信は、
全く不利なポジションからみごとなリカバリーをみせ、
このホール、バーディで同点とし、
延長戦に持ちこんだのだから、
もしもあの十五番のパットミスがなかったら、
広島や中日がその二、三日前に巨人に対してやったような、
最終回サヨナラ勝ちになるところだった。
弱い方が勝つ最もやりやすい勝ちかたは、
最終回のサヨナラである。

相手に反撃の機会を与えないから安全なのだ。
強い方は初回から圧倒して勝つのが相手の戦意をくじいていちばん良い。
槇原が投げた中日戦のように、
初回に三点とって優位に立ち、五回の二点で完全に相手の戦意を失わせ、
あとは槇原が完封できるかということだけが興味となる、
あれが強者の勝ちかたである。
PL学園も逆転だなどとさわいでいるうちはまだ弱い、
本当の強者は相手に優位を与えずに勝つのだ。

つづく
月刊『自己表現』1983年7月号から原文のまま

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