暮らしを彩る出版社
コラム
子育ての中にはいろいろな発見があります。親として、何かを感じ、経験し、学んだこと…。それは自分にとっても周囲の人にとっても大切な宝。その発見の感激を毎回手記でお届けします。
「息子からのありがとう」Episode19

- ペンネーム
- あじさい
- 年齢
- 30代
- 家族構成
- 夫、長男(7歳)、次男(6歳)

3月に次男が幼稚園を卒園しました。
3歳から3年間、毎日お弁当を作り、送迎をし、園の行事にもなるべく参加して、
日ごろの様子を見せてもらっていました。
何かと大変でしたが、内容の濃いすてきな時間を過ごすことができました。
修了式を間近に控え、最後のお弁当の日の前夜のことでした。
次男はいつものように夕食を済ませると、台所に食器を運んできました。
その時次男から「お母さん」と呼ばれたので、
「何?」と返すと、
「毎日のお弁当、ありがとう。うれしかったよ!」と言ったのです。
私は瞬間的に「えっ?」と聞き返しましたが、
冷静になって息子の言葉をもう一度、頭の中で整理しました。
「ありがとう」「うれしかった」
まさかこんなフレーズが6歳の次男の口から出てくるなんて思ってもいなかったので、
私は感動のあまり息子をぎゅっと抱きしめ、
「こちらこそありがとう」と言いました。
私はお弁当作りが苦手で、1年早く入園した長男のお弁当作りを始めた当初から、
〈3年間、大丈夫かな……〉と不安でいっぱいでした。
しかし翌年、次男の分も合わせ、2人分を作ることになった時には、
「もう、やるしかない」と腹をくくり、
苦手なりにも〈喜んでもらえるように〉と頑張ってきました。
毎日、空っぽで返ってくるお弁当箱を見ては励まされ、
無事に乗り越えることができました。
3年間の幼稚園生活で、次男は自然に“感謝すること”を学んだのだとしみじみ感じました。
年齢的に「まだまだ難しい」と思うことでも、教えられたことは吸収していきます。
「幼稚園」という小さな社会の中で学んだことは、息子にとって大きな一歩であり、
大きな成長でした。親としても感謝せざるを得ませんでした。
毎日の何気ないことの繰り返しでも、一つ一つが一度限りのことで、
同じことは二度と起こりません。
その中の一つの出来事に“感謝”の気持ちを伝えてくれた次男に大きな拍手を送りました。
次男から届いた「ありがとう」と「うれしかった」の言葉を胸に、
これからもますます子育てに励みたいと思います。