暮らしを彩る出版社
コラム
子育ての中にはいろいろな発見があります。親として、何かを感じ、経験し、学んだこと…。それは自分にとっても周囲の人にとっても大切な宝。その発見の感激を毎回手記でお届けします。
「心に伝える」Episode22
- ペンネーム
- だんごむし
- 年齢
- 30代
- 家族構成
- 夫、長男(7歳)、次男(3歳)、三男(1歳)
子育てをする上で大切なポイントの一つとして、
〈子どもも一人の人格者として接する〉と教えられたことがあります。
例えば、子どもと出かける、初めてのことを経験させる時などには、
事前にその予定を伝えることが大切だとか……。
最近、〈伝えること〉に大きな誤解があったことに気付きました。
職場で大きな行事があった時のことです。
私たちは職場の敷地内に居住していますので、
当日の予定などを事前に子どもに伝えていました。
ところが、当日の朝になって急きょ予定が変更になり、
待機の予定だった私は、お招きする講師の先生との昼食に同行することになりました。
夫は空港に講師の先生をお迎えに行く予定でしたので、
結局夫婦で留守にすることになりました。
自宅にいた長男に予定の変更を伝え、いざ出発しようとすると、
突然「僕も行きたい」と言い出したのです。
「それはだめ」と伝えても聞こうとしません。
「行きたい、行きたい」の一点張りで、外まで出てきて泣き出しました。
ふだん子どもたちは部屋で自分の好きな遊びをして過ごしているので、
私たちは何ら問題ないと思っていました。
結局職場の方が長男をなだめ、落ち着かせてくれたのですが、
私は〈何でこんな忙しい時に限って……〉と思いながらも、
泣きじゃくる長男の声を背に、逃げるように電車に乗り、
複雑な気持ちになりました。
その日の午後、講師の先生にそのことを相談しました。
先生は私の話を聞きながら、
「聞いていると何だか伝えさえすれればいい、という感じがするよ。
子どもの心に伝わるように、大人に頼むように話してあげなければね。
その間○○君は何をして待っていればよかったの?」と言われ、
私は初めて子どもの気持ちになって考えることができました。
〈それくらい自由にするだろう〉と決めつけ、
急に置いていかれる子どもの気持ちを理解していませんでした。
〈急な変更があったとしても、伝えれば分かってくれる〉
程度にしか考えていなかったことに気付きました。
〈大人に頼むように〉と書きましたが、
上司に相談をするとなれば、もっと丁寧に分かりやすく話していたと思います。
子どもに対してもそうでなければならないのだと、あらためて学んだ出来事でした。
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