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プロとアマチュアの違いは何か…。 自分の仕事に誇りを持ち、より充実した生活を送るためのヒントが満載。きっと誰もが今からでも変われます!本当の「自分」を発見し、マンネリズムから脱出しよう。 1982年(昭和57年)から1984年(昭和59年)までに連載された、芸術生活社発行『自己表現』の「プロフェッショナル研究」を原文のままお届けします。

「物を見抜くコツを養おう」プロフェッショナル研究 Chapter16-3

ビジネス
16-3

日ごろから本物を見抜く鋭い眼を鍛えておくことは大切だ。しかし、行動がともなわなければ、本当に見えたことにはならない。

映画をやっていたころの友人に、動物の生態を専門に撮影しているのがいた。
彼は若いころ、海老が卵を生むところを完全に撮影して賞をとったことがある。
水槽に海老を飼って、彼は毎日毎晩その海老を眺めていた。
もちろんいつでも撮影できるように機械のほうは準備していたが、
そんなやたらにフイルムを回せるものではない。
ところがある日、眺めていたら、海老の動きがいつもと違う。
それっというのでカメラを回し、四百フィート一巻で完全に海老の産卵を撮影できた。
何か違う、いつもと違う。
これがわかるためには約四十日間眺め続けた努力が必要である。
これが眼を鍛えるということなのだ。
違っていないものを何回も何回も見る。
そうすると違っているものがわかるようになる。

美術鑑定の仕事に入ると、はじめのうちは本物ばっかり見て暮らすのだという。
本物ばかり見ていると、にせものに当ったときに何か違うことがすぐわかる。
どこがどう違うかを調べるのは科学的な方法がいろいろあるが、
まず熟練した専門家が第一印象で下した鑑定は間違っていないそうである。

では同じものを何回も見ていれば良いかというと、
それだけではだめである。
何回も見るにしても、真剣に見ていなければなんにもならない。
毎晩ナイター中継を見て、巨人の投手陣はそれこそ今年になってからでも
五回か六回ずつは見ている私であるが、
いまだに江川がカーブを投げる時のくせは見抜けない。
江川だけじゃなく、他の投手のくせもまるでわからない。
なぜか、私は野球を遊びで見ているからである。
ひいきのチームが勝つことを望み、そっちのほうへ神経が行ってしまって、
フォームの分析などはする気もないし、できもしない。
だが、プロでも一流になるほどの人なら、じっくり見て、
何度か見るうちに小さなくせを見抜くだろう。
これが目を磨くということなのである。

眼を鍛え、眼を磨いて、鋭い眼でものが見えるようになったとする。
もし君が中学校の教師なら、教室に入って「おはよう」とあいさつしただけで、
△△君は気分が悪いのかな、〇〇君はゆうべ予習してきたらしいな、
などとわかるようになったとしての話である。
問題はそれからどうするかである。
見えただけで行動がともなわなければ本当に見えたことにはならない。

「カーブのときはひじが下がるから、そいつをねらえ」
などと大声を出して味方に教えれば、
そのときは打てるかもしれないが、
相手がそのくせを直してしまえばまた打てなくなるから、あまり得ではない。
そこでどうするか、ひらめくのも鋭い眼のうちなのである。

先日、PL学園が大阪代表として甲子園に出場することが決まったとき、
私などは「バンザーイ、乾杯だ、ビール持って来い」などと騒いでいたが、
周囲の先生方は「さあ、選手が帰ってくるまでに祝勝会の準備をせねば。
それに、後援会や富田林市民の応援の打ち合わせもある。
大阪ブロックの先生方にも連絡だ」などと、
まことにテキパキと、次々に思いついたことを、さっさと取りかかって行った。
「ビールだ」などと浮かれている私一人がアマチュアで、
まわりの若い連中はプロフェッショナルであった。
プロの鋭い眼、それはこのように軽快な行動によって養われるのである。

 

月刊『自己表現』1983年10月号から原文のまま

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