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プロとアマチュアの違いは何か…。 自分の仕事に誇りを持ち、より充実した生活を送るためのヒントが満載。きっと誰もが今からでも変われます!本当の「自分」を発見し、マンネリズムから脱出しよう。 1982年(昭和57年)から1984年(昭和59年)までに連載された、芸術生活社発行『自己表現』の「プロフェッショナル研究」を原文のままお届けします。

「仕事熱心は知恵を授かる」プロフェッショナル研究 Chapter18-1

ビジネス

人がやれないことをやれる才覚それがオリジナリティーだ

花登筺(はなと こばこ)氏が死んだ。
恐るべき速筆で、人と話しながらでも原稿を書くほどの集中力があり、
次から次から持ちこまれる仕事を、片っ端からやってのけるだけの
スタミナのある作家だったそうな。
そうやって書いた作品のほとんどがヒットし、
人気番組になりベストセラーになったというんだから、
並大抵の才能じゃない。
そんな花登筺氏も病気には勝てなかった。
それも、早くから病気だと知って治療していれば治ったかもしれないのに、
仕事が忙しすぎて苦しくなるまで医者にも病院にも行かず仕事をしていた人で、
行ったときにはもう手遅れでどうにもならなかったそうである。
「殉職なんて言葉は作家には当てはまらないでしょうが、これこそまさに殉職ですよ」
と言う人もあるそうな。

仕事に生き、仕事に死んだ男、
彼こそ本物のプロフェッショナルであろう。
そこで今月のプロフェッショナル研究は彼を追悼する意味も込めて
(実は私も彼の作品のファンだったので)、
彼の作品「どてらい奴」の中から材料をさがしてみた。
「どてらい奴」はとにかく面白い小説である。
それにスピードがある。スピードのある文章ってのは、
量の割に内容が少ない文章で、そういう本は軽く読めるし、
必要とあれば一ページおきに読んで行っても大よその筋だけはつかめるもんだ。
だから筋が面白くなかったらスカみたいなもんだが、
「どてらい奴」は筋が面白いからスピードが生きる。
スピードのない、内容の濃い文章ということになれば、
死んだ川端康成・三島由紀夫のもので、こういうのは面白いけれどくたびれる。
そこへ行くと芥川龍之介の小説は内容が濃い上に緊迫感があって、
一気に終わりまで読者を引っ張って行く迫力がある。
やはり日本文学史上の大物だよ。
だから芥川賞という賞に永遠の名が残る。

今月のプロフェッショナル研究は、文学談義かよ、と文句が来そうだが、
ともあれ花登筺は日本文学史にその名を止めるような作家ではなかったかもしれぬが、
現代人を大いに楽しませ、小説の中に出てくるプロフェッショナルの思想によって、
多くの人に考えさせたという点では梶山季之とともに頭抜けている。
「どてらい奴」も初めのうちは主人公山下猛造の強烈な人間性を描き出すことに力点を置いて、
その行動にそれほど特異なプロフェッショナル性を見い出すことはできない。
面白いことは面白いが考えさせられるようなことはあまり出てこない。

つづく

月刊『自己表現』1983年12月号から原文のまま

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虚心坦懐(きょしんたんかい)

素直さは成長のカギです。先入観を捨て無心で物事に取り掛かりましょう。