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プロとアマチュアの違いは何か…。 自分の仕事に誇りを持ち、より充実した生活を送るためのヒントが満載。きっと誰もが今からでも変われます!本当の「自分」を発見し、マンネリズムから脱出しよう。 1982年(昭和57年)から1984年(昭和59年)までに連載された、芸術生活社発行『自己表現』の「プロフェッショナル研究」を原文のままお届けします。

「仕事熱心は知恵を授かる」プロフェッショナル研究 Chapter18-2

ビジネス

自分も儲け、お客も喜ぶような商売ができないようでは商人失格。
人生も同じこと。人を喜ばす才覚を磨く努力を怠ってはならない。

文庫本の第七巻、主人公山下猛造が独立して自分の店を持ち思い出と
憧れの土地であった立売堀に昔の繁栄を取りもどそうと、
駅まで迎えのバスを出すやら、買い物客に昼食の接待をするやらで評判を集め、
上々のすべり出しであったものが、不景気の到来とともに客が減り、
在庫ばかりたまって売り上げがさっぱり伸びなくなったところから、
プロフェッショナルなら、何としても身に着けておかねばならぬことがテーマとして浮き出てくる。

機械工具屋、つまりいわゆる金ヘンの商売は朝鮮動乱のころは大繁盛であったが、
そのあとの不景気風は、まともに金ヘンに吹いた。
次々と新製品は出るのに、仕入れても買い手がない。
と言って仕入れずにいたら、品物が旧式になって、買ってもらえない。
在庫はふえる、売り上げは伸びない。
困りきっていた山下猛造は、以前勤めていた商店で丁稚から販売の責任者になり、
前任者の仕入れの失敗で売れぬ商品が在庫過剰となっていて、
それを売れと命ぜられたときのことを回想する。

当時販売の神様と言われていた大石将軍が猛造を可愛がってくれていて、
二割値段を下げれば全部買ってやると言われて、
大喜びで買ってもらった。売れなくなった商品がいつまでも残るより、
たとえ二割引きでも現金にかわったほうがありがたいというのは、
そのころも現代も変わりないところらしい。

ところがそのことで礼を言いに行った猛造は大石将軍に叱られる。
「ど阿保。おのれは商売してるんやぞ!商売ちゅうのは勝負やぞ!
売り手が勝つと言うことはの、いかに正当な値段で売って、
なお買い手から文句が出んことじゃ、おのれは値段を下げたときに既に負けてるんやぞ!
その上にまだ酒まで持ってきて、負け犬が尻尾巻くどころか、
おのれの足をおのれが噛んで逃げるんと一緒やないか!商人の恥やろ!!」

そう言われて唸る猛造に大石将軍は、
「ええか、お前はこれから商売をやるんや。よう憶えとけ、
おマケってことは負けるってことや――けど、それは値段のことやぞ。
つまりおマケや言うて値引きすることが売り手の負け。
ところがや、値段そのままでもおマケがある、わかるな?」

こうして大石将軍は猛造に金のかからんおマケがあること、
つまりそれはサービスのことだと教える。
例えば大石が本当にほしがっているものを調べ、
それを提供して抱き合わせにする。
これだったらまず間違いない。
「けど、その場合でも、まだわしがいやでも買うとこやの。
もっとええおマケは、わしが喜んで買うことや」と言う。

大石の若いころ、どこにも買い手のない品を店主が仕入れてしまって、
大石に売れと命令した。売りに出るが売れない。
店主は売れたかと聞くし、大石は売れまへんと答える。
すると何で売れんとくる。売れぬ品物を仕入れたそっちが悪いと思うが、
それを言ったらおしまい。部品の合う機械がなくて、
誰も買いませんと答えたら、店主が、ウソつけ、買うところはある、
と言い、
どこですそれはという問に、現にわしとこが買うたやないか、
と言う。

腹は立ったがけんかはできない。
そこで大石は、店主はなぜそんなものを仕入れたかと考えて、
義理で買わされたんだ、とわかった。
そこで大石自身も義理で買ってくれる店にその品物を持って行き、
全部売ってきた。
その店は、大石の顔を見ると
「大石さん、頼むさかいにいっぺん無理聞かせてくれ」という店であった。
だから義理の売買が終わったあと、そこの店主は実にうれしそうに
「ああ、これでやっと借り返した」と言ったのだ。
なぜその店主がそんなことを言ったかというと、
大石がその店が火事になるところを消し止めたからである。
店の大恩人だった。

つづく
月刊『自己表現』1983年12月号から原文のまま

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