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プロとアマチュアの違いは何か…。 自分の仕事に誇りを持ち、より充実した生活を送るためのヒントが満載。きっと誰もが今からでも変われます!本当の「自分」を発見し、マンネリズムから脱出しよう。 1982年(昭和57年)から1984年(昭和59年)までに連載された、芸術生活社発行『自己表現』の「プロフェッショナル研究」を原文のままお届けします。

「仕事熱心は知恵を授かる」プロフェッショナル研究 Chapter18-3

ビジネス
18-3

自分の仕事にオリジナリティーを持たせることができるか否かは、
いつも問題意識を持ち続けているかどうかで決まる。

でも、夜の十一時に火事が出たときになぜ大石がその場に居合わせたかである。
「わしはな、その店へ外交で回りながら、得意先の裏側が空地になっていて、
近所の道直してる工事人がしょっちゅうそこで焚火しとるの見てたんや。
そして、そのお得意さんとこは塀がなくて両横の家が塀になっとる。
それではお得意さんの裏からまっすぐは何も無うて吹き抜けや。
ということは、風は必ずお得意さんの裏へ向かって吹き抜けるてことや。
もし火の気が残ってたらどうなる?火事起こしてくれと言わんばっかりやないか?違うか?」

「へぇ。けど、ようたまたまその火が出たときに、お得意さん回りを……」
「火事の出たんは夜の十一時や」
「えっ、すると将軍さん、何でその火事を?」
「毎日、火の用心に回ってたんや」
「何だすて!」

びっくり仰天した猛造は大石将軍の顔をみるだけだったが、
やっとわかったのである。大石は火事の心配があると知ると、
その得意先を毎夜毎夜見て回っていたのである。
そして火事からその店を守った。
それはとてもできそうにない努力だった。
喜んで買ってくれる義理というのは、
そこまでのことをした努力の結果である。

「その得意先はな、それからずうっとわしに、
何かで返したい気持ちを感じて、どもならんて言うてはった。
けどわしは、その店に何の頼みもせんかった。いやむしろ、
他のお得意さんより大切にした。そやさかい、わしがそれを頼みに行ったときは、
喜んで買うてくれはって、ああこれで借り返したと、ほっと喜んでくれはった」

プロフェッショナルの大切な条件は、この大石の持っていたような才覚である。
人がやってもできぬところを、その人がやればできるというのが才覚である。

花登筐の作品にはこういう才覚が次々に紹介されている。
読めば大変に面白いから楽しむだけでもかまわないわけだが、
あれだけたくさんの人が本で読んだりテレビで見たりしたのだから、
一人や二人は俺もやってみようと思うのがでてきても良いはずである。
ところがなかなかそうはならない。
第一現代は吹き抜けのようになっていて、
裏で焚火しているお得意さんなんて見つからない。
だから結局は楽しむだけになっているのだが、
才覚の話が面白いのは、才覚というものがオリジナリティーの産物だからである。

オリジナリティーを失ったとき、才覚は才覚でなくなるのである。
「どてらい奴」の中で山下猛造も、お客様に食事を提供するという、
当時としては破天荒なサービスをして、評判を得たが、
世の中が落ち着いてくるに従って、それでは客がついて来なくなった。
つまり、この才覚は才覚でなくなったのである。

食事を出すのはもうあかんとなったとき、
次なるものを考え出すのが才覚である。
火事になりそうなお得意さんなんかない、
と言ってあきらめる人は、その才覚がまるっきりない人であり、
時代に合わないと批判する人は、
自らの無能を悪口を言うことでカバーしようとする卑怯な人である。

プロフェッショナルは、自らの仕事にオリジナリティーを持つべきである。
それはいかに自分の仕事に熱心かで決まる。
一生懸命になったとき、人間には知恵が出る。
なぜなら、知恵は神様からの授かりものであって、
人間の力で出てくるものではないからである。
才覚。それは仕事熱心で、問題意識を持ち続ける者にのみ与えられる、
プロフェッショナルの条件なのである。

月刊『自己表現』1983年12月号から原文のまま

 

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