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プロとアマチュアの違いは何か…。 自分の仕事に誇りを持ち、より充実した生活を送るためのヒントが満載。きっと誰もが今からでも変われます!本当の「自分」を発見し、マンネリズムから脱出しよう。 1982年(昭和57年)から1984年(昭和59年)までに連載された、芸術生活社発行『自己表現』の「プロフェッショナル研究」を原文のままお届けします。

「血と汗と涙を流せ」プロフェッショナル研究 Chapter22-2

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「苦手だから」と、患者に注射するのをいやがる看護婦は失格。
給料をもらって仕事をするからには、それがどんな内容のものでも拒否権、
選択権のないことを知れ。

その第一は、学生のときと違って「イヤダ」と言えなくなるということである。
「やだぁー やだぁー」と泣き叫べば
「そんなに泣くんじゃしかたがない」と許してもらえる時期がある。
私も小学校一年生ぐらいのときひどい風邪をひいて寝こみ、
家にお医者さんが来たとき、注射がいやだといって泣き叫び、
とうとう薬を飲むだけですませてもらった記憶がある。
だから本来はこんなお説教する資格はないかもしれないが、
こういうことは幼い間だから通用することであって、大人のできることではない。

学生という立場は、言うなれば子供と同じ扱いであって、
いやなものはいやだと言えるのである。
例えば私は学生のころ、卒業論文を書くことになって、
教授と相談した。
「井上君、こんなテーマでやってみてはどうかね」と教授。
「ちょっと大変ですねえ、もう少し資料調べのやさしいものはないですか」と私。
こんなことで、拒否権というのか選択権というのか、
いやなものはいやと言うことが、当然のこととして認められていた。
ところが社会人は違うのだ。
「貴女は明日から五階病棟に詰めて下さい」と命じられたら、
否も応もない、そこへ行くのが社会人なのだ。

「この人にこの注射をして」とか「この患者は第何号室へ」という指示に対しても
「私、注射するの苦手なんです」とか「あの部屋は遠いからいやです」などとは言えない。
学生から社会人になっていちばん戸惑うのはまずこのことである。
これが苦しくならぬためには、少なくとも自分のやる仕事そのものが好きで、
それをすることが面白くてしかたがないぐらいになっておく必要がある。

長い間やっているうちには、いやな仕事、いやな医師、
苦手な患者なんてものがでてくるかもしれないが、初めのうちは、
自分のような未熟なものに実際の仕事をさせてもらえることへの喜びを
持っていなければならないのだと話した。
私自身も学校を出て、初めて教師としてある教会へ配属されたとき、
うっかり「あんまりややこしい人への解説は困るな」と言ったら、
教会長に「君に解説してほしいと言ってくる会員さんなんているかな」と言われ、
本気で心配したものだ。だから初めて私に解説願いの伝票が回ってきて、
私の前に会員さんが現れたときはとてもうれしかった。

プロフェッショナルとは、この初めてのときの喜びを、
いつまでも持ち続けている人である。
それからも私は、この初めての喜びをいろいろ体験した。
自分の書いたものが初めて活字になった喜び、自分の作ったシナリオが映像になって
テレビにオンエアされた喜び。そういうものを忘れ、
じゃまくさがったり、あとまわしにしたりしたくなったとき、
その人は真のプロフェッショナルから遠くなりつつあるのである。

つづく
月刊『自己表現』1984年4月号から原文のまま

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