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プロとアマチュアの違いは何か…。 自分の仕事に誇りを持ち、より充実した生活を送るためのヒントが満載。きっと誰もが今からでも変われます!本当の「自分」を発見し、マンネリズムから脱出しよう。 1982年(昭和57年)から1984年(昭和59年)までに連載された、芸術生活社発行『自己表現』の「プロフェッショナル研究」を原文のままお届けします。

「腕が違うのはなぜか」プロフェッショナル研究 Chapter21-2

ビジネス
21-2

人生、どこで障害にぶつかるかわからない。
しかし、一途に鍛えあげ身につけた技術だけは、どんなときも生きて働くのでる。

今ごろはどうなのか知らないが、
高校の同級生の一人が銀行へ就職した。
卒業式の日、彼女は一万円札の大きさに切った紙の束を持っていて、
ちょっと暇ができると一生懸命に数える練習をしていた。
何でも三十秒で正確に数え終われるようになれと
指示されているということだった。ちょっと借りてやってみたが、
とてもとても三十秒どころか
三分かかっても正確かどうか自信が持てない始末だった。

三年ほどたって同窓会があり、
彼女を会計の責任者にして、一緒に会費の整理をしたとき、
まことに鮮やかな手つきで、それこそあっという間に
何万円かの千円札や五百円札をきちんと
数えて整理してくれたのに、目をみはった覚えがある。
彼女がそれをやったとき見ていたのは私一人でなく、
何人かの仲間や先生までいて
「へえ、大したもんだ」とか「鮮やかなもんだねえ」
などとヤジをとばしていたが、
彼女はそんなものに動じる気配すら見せなかった。

高校時代の彼女は、成績は良いほうだったが、
どちらかと言えば引込み思案で、男子にじっと見つめられると、
真赤になるような人だったから、よけい驚いたものだ。
つまりこれが習練ということなのである。

学生のころ、アナウンサー志望の友人がいて、
アナウンス・アカデミーというのに通っていた。
彼はしょっちゅう、アイウエエオアオ、カキクケケコカコ、
なんて発生の練習をやっていたが、あれも習練のうちなのだろう。
ああやって、自分の発声や、発音を正しいものに鍛えあげ、
どういう調子で声を出すべきか、どんな表情をすべきかなどの
レッスンを受けているから、カメラやマイクの前でも
平静にできるのだ。それがプロフェッショナルというものである。

人間が長い間何かをやっていれば、
時々とんでもない障害が出てくるものだ。
たとえば最初に言った高校生諸君だって、
帰省で家に帰り、教会で先生や、集まった会員さんに
挨拶するときはもっと平気でやれるかもしれない。

ところがビデオカメラなんていう、
生まれて初めてのものを前にして、
すっかり調子が狂ってしまったのだろう。
障害はカメラや人の目ばっかりじゃない。

外国へ行って食べ物が違うのでおかしくなる人、
暑さ寒さに弱い人、人にじろじろ見られるのが
いやでたまらなくなる人など、いろんな障害に遭う人は多い。

私もアメリカに二日ほどいたが、とにかくすれちがう人が
誰もかれも私より背が高いのでものすごく居心地が
悪かったことが印象に残っている。

日本では私も背の高いほうなので、
少なくとも私より背の高い女性にはめったに出会わなかったのが、
エレベーターで乗り合わせた四人の女性が全員私より背が高く、
とりわけ私の前に立った人など、私の目の高さに
超ボインがあるという風で圧倒される気分だった。
あんな所に一年も住んだら、外のことは別に何ともなくても、
それだけでおかしくなったかもしれないと思う。

こんなとき、プロフェショナルと言えるほどの
技術が身についている人は、比較的早く環境に慣れ、
自分を取り戻すことができるようだ。

だから外国へ行ってちゃんと暮らしている人は
カメラマンとかコックとか運転手とか大工とか、
身についた技術のある人が多い。

何十年か前に日本から炭鉱労働者がドイツへ
移住したことがあったが、少なくとも日本で
地方から東京へ集団就職してくる人たちよりは
しっかり暮らしたようであった。

どんな障害があっても、鍛えあげて身についた技術だけは
生きて働くのである。
また、そうでなければプロフェッショナルとは言えないのである。
ではそれは何故かについて考えてみよう。

 

つづく

月刊『自己表現』1984年3月号から原文のまま

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