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コラム
乳幼児編その2「待てる子供に育てるには」
親子コミュニケーション
前回は、悩みながらでも、目の前の赤ちゃんをよく見て向き合ってほしいことをお伝えしました。今回は、そこをもう少し深くお話ししたいと思います。
近頃、電車の中などで、赤ちゃんを抱っこしたり、ベビーカーに座らせていて、ママがスマホの画面を見ながら、子供と話している姿を見ることがあります。
まだ小さいし、「電車が見えるね」とか「次に降りるからね」と言う程度なら、メールしながらでも答えられるのでしょうが、子供が今見ているもの、話したいことを、一緒にしっかり見てやり、聞いてやることをしてほしいです。
子供の成長は目覚ましいもの。おっぱいを飲んで泣くことしかできなかった子が、たった1年で、歩いたり、話したり、自分で食べたり、何かに興味を示したりするのです。すごい勢いですよね。
だから、大人と同じ時間が流れている訳ではないのです。一日一日、あらゆることを吸収しているとしたら、その一瞬をないがしろにできないはず。
スマホを片手に受け答えするママは、将来、親が一生懸命話していることを、スマホを見ながら応える中学生になってもいいってことを教えているのです。
〝赤ちゃんだから分からない〟なんてことはないです。〝赤ちゃんだから吸収がすごい〟のです。
スマホやタブレットを置いて、しっかり目を見て、お話を聞いて、応えてあげましょう。急な返信のいるメールが来たら「ちょっと待ってね、お返事してからお話ししようね」ときちんと説明すればいいのです。
そうしていくと、待てる子供になっていきます。待つことは練習しないとできません。「我慢できない子なんだから」と言いたくなる子供にしない子育てがあるのです。
『芸生新聞』2017年4月3日付号掲載
臨床心理士の考える子育てのヒント
1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。
川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師