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コラム
乳幼児編その5「転んでも見守りのほほ笑みで」
親子コミュニケーション

1歳のお誕生日を迎えるころになると、かなり人間らしくなってきます。ハイハイをしていたころより、更に活動的になりますから、目を離さないことが、親の日常になります。
危ないことや事故に気を付けるのはもちろんのことですが、転んでしまうことだって、しょっちゅうあるでしょう。
公園など安全な場所なら、転んだって大したことはない。転んで当たり前。だから、自分で起き上がれるようになったら、親がすぐに抱き起こさずに、見ておきましょう。
泣きながらも、自分で起きるのを待ってみましょう。自分で起きてきた我が子をしっかり抱き締めて「1人で起きてえらかったね」と、褒めてあげましょう。泣いていても、にっこり笑って「痛かったね~」と言う程度で。
なぜにっこり笑うのかというと、「そのくらいは大したことないよ」「転んだって起きればいいのよ」と伝えるためです。転ばないことより、転んでも起き上がれることが大事です。
失敗しても、立ち直ればいい。大したことのない失敗はたくさんすればいいのです。それを怖がらなくていいと伝えられるのが、ママの笑顔。
転んだことを、バカにして笑うのとは違います。見守りのほほ笑みです。
ずっと親が起こし続けてきて、3、4歳になって下の子ができてから、「自分で起きなさい」は、ないですよね。
もちろん、転び方にもよりますから、顔をズルむけに擦るほどだったり、転んだままでは危ない場所では、すぐに助けてあげましょう。
『芸生新聞』2017年7月3日付号掲載
臨床心理士の考える子育てのヒント
1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。
川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師