暮らしを彩る出版社
コラム
未就学児編その2「できるまで待てる親になる」
親子コミュニケーション
子供が次々とあらゆることに興味を示し、何でもかんでも手を出し始めると、親の悩みの種も増えていきます。目が離せないし〈あ~やっちゃった〉ということが何度もあるでしょう。
箱からティッシュを全部出したり、ゴミ箱の中身を出してしまったり、ミートソースを手に付けて遊んだり、それくらいなら大したことはないのです。元に戻せばいい、拭けばいいのです。
まだやっていいこと、いけないことが分からないのですから、怒ることではありません。片付ければ何とかなることなら、「やっちゃったね」と笑い、教えてあげましょう。
小さいうちは、何かやらかすものです。ママが、しなくてもいいはずだった掃除や片付けが面倒だから、怒りたくなるのであって、やらかすこの子が悪い訳ではないのです。
保育園に預けて働くママだと、朝の忙しい時は、1分だって惜しいですよね。そんな時に、やらかしてくれると「何やってるの!」と言いたくなるけど、分かっていない子を責めるのはおかしいです。目を離した、子供の手の届く所に置いた大人の責任です。
分かるようになるまで気を長くして待つことが大切ですね。転んだって、もう自分で起きてこれるなら、見て待っておくのと同じです。その都度教えながら、自分でできるようになることを、怒らず待つ練習を今からしていきましょう。
つい声に出して、「ダメじゃない!」と言ってしまうこともありますよ。親だって人間ですから。それに気付いた時に、「怒ってごめんね、わざとしたんじゃないもんね」と謝ればいいのです。
ティッシュ箱やゴミ箱で遊ぶ時期は短いですから、あっという間に過ぎていきますが、その後の長い子育て期間には、怒らずに、できるようになるまで待つことがとても大切になってきます。
『芸生新聞』2017年11月6日付号掲載
臨床心理士の考える子育てのヒント
1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。
川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師