暮らしを彩る出版社
コラム
未就学児編その4「五感を感じる経験を大切に」
親子コミュニケーション
スマホやタブレットを持つことが当たり前になり、困ったらすぐに回答が出てくる時代になりました。街では、ベビーカーに座っている子が、タブレットを持って遊んでいる姿を見かけることもあります。
電車で、子供がぐずり出したら、パッとスマホでアプリを検索して見せると、たちどころに泣きやむ。今は、お出かけした時に、子供がぐずったり、手持ち無沙汰にならないように、絵本やちょっとしたおもちゃを持たせる発想がないママも増えたかも。
子供を大人しくさせておくために、ベビーカーや電車の中で、子供だけにタブレットを持たせて子守りをさせることはやめましょう。画面からの情報は刺激的で、次々と興味が湧くでしょうが、ずっと受け身なのです。
ママが絵本を読み聞かせたり、車窓から外を眺めたりしていると、コミュニケーションのやり取りがある訳ですし、おもちゃは自分の手で触っているので、一方的な受け身ではありません。
学校に上がって、調べ物でインターネットを使うのとは違うのです。小さいうちは、直接、自分の目で見て、生の音を聞いて、触って、匂って、と、五感を感じる経験ができることを増やすようにしてあげましょう。
画面の中の世界は、本物ではありません。混み合った乗り物で、泣き出した時に、周りの迷惑を考えてアプリを見せるとか、賢い使い方もできるでしょうが、楽をするための子守り代わりに使うものではないことを親が自覚しておきましょう。
〈これを見せておけば大人しいから〉〈自分が楽だから〉と、手をかけないでいると、何事も「面倒くさいからしない」と言うような大人になってしまいますよ。
『芸生新聞』2018年2月5日付号掲載
臨床心理士の考える子育てのヒント
1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。
川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師