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未就学児編その10「子育て、しつけは外注できない」

親子コミュニケーション

 前回(『芸生新聞』7月2日付掲載)、親力がないと、親として伝えたいことが子供に伝わらないと書きましたが、今回、親力についての話をします。

 子供が生まれると、誰でも親にはなれますが、子供を育てる親として、健全な成長を育み、しつけをし、責任を果たすことは実はとても難しいことなのです。

 第1子の時は、親だって初心者ですから、分からないし、不安だし、悩んで当たり前です。子供の成長とともに、親も1年目、2年目と成長していくのです。そうして、親力を付けていくことになるのです。

 第2子になると、上の子の時の経験が助けになりますが、それでも個性はそれぞれですから、同じようにはいきません。違った悩みを持つのも当たり前。

 それでうまくいったり、いかなかったりの繰り返しで、〈こうしたらいいかな〉とか、〈こう言えば分かるかな〉と、親が学んでいく上で、〈こうしたらいいのかも〉と分かってくるのが〝親力〟なのです。困ったらすぐにネットやアプリを使って簡単に解決できても、親力は付きません。

 スイミングスクールに入れば泳げるようになり、英会話教室に通えば多少の英語は話せるようになりますが、それと同じように、先生や他の誰かが子供を育て、しつけてくれることはありません。

 子育て、しつけは、決して外注できないこと、親であるあなたがするしかないのです。

 最近、「スマホやiPadに子守りをさせないで」と言われるのは、「便利なものを使うな」と言っているのではなく、親がしないといけないことまでも、せずに済むような気持ちで機械に任せるなということなのです。

 子供を自立したまっとうな人間に育てることが親の責任です。親子で直接、目と目を合わせ、ふれあいながら、悩んで、困って、苦労して、子育てしてこそ、親力が付いていくのです。

 子供が成人した時に、〈まぁこんな感じに育ってくれたから、良かったかな〉と思えたら、大成功です。

『芸生新聞』2018年9月3日付号掲載

臨床心理士の考える子育てのヒント

1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。

川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師

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するべきことは評価を気にせず、心を行き届かせて行いましょう。