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未就学児編その11「上の子の我慢を褒める」

親子コミュニケーション

 下の子供が生まれて、お兄ちゃんお姉ちゃんになると、どうしても赤ちゃんの方に手がかかりますから、ママを取られた形になります。

 妊娠中に抱っこしてもらえない、お出かけが制限される、から始まり、お産の時にはパパや祖父母に預けられ、一人っ子の時よりも、我慢しないといけないことが次々とやってくるのです。

 なのに、「もうお兄ちゃんでしょ」とか「お姉ちゃんになったんだから」と、本人は意味が分からず、我慢させられます。大人にとっては当たり前でも、子供にとっては意味が分からないのです。

 お兄(姉)ちゃんになったんだからできる、のではなく、我慢ができたことを、「さすがお兄(姉)ちゃんだね」と褒めてあげる。それで、自分より幼い者を愛しむ気持ちが生まれてくるのです。

 〈兄弟・姉妹で仲良くしてほしい〉と親は思いますが、知らず知らずのうちに、親がそうならないようにしていることがあります。

 お兄(姉)ちゃんだから、おやつを多くあげることもそうです。年齢差、体格差によって食べる量が違うので、上の子が多くなるとか、食べ過ぎる傾向のある子だから量を制限する、とかならいいのですが、もし、少食の上の子、大食の下の子だと、上の子はこんなにたくさんは食べられない、下の子は食べたいのに我慢させられることになり、不満が出てきます。

 「お兄(姉)ちゃんだから、多くあげて当たり前」ではなく、それぞれの子供が健康に成長し、満足できる食事、おやつの量を考えてあげましょう。

 食べた後はお兄(姉)ちゃんに片付けをお願いして、「ありがとう。助かったわ。さすがお兄(姉)ちゃん」と感謝してあげると、下の子がまねて、人助けの心が育ちます。そうした声掛けで、上の子らしさが身に付き、きょうだいが尊重し合えるようになるのです。

『芸生新聞』2018年10月8日付号掲載

臨床心理士の考える子育てのヒント

1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。

川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師

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