暮らしを彩る出版社
コラム
未就学児編その18「子供の成長を大切にする遊び」
親子コミュニケーション
子供は、大人が見過ごすようなちょっとしたことで遊ぶことができます。石ころを集めたり、次々と画用紙をめくって同じ絵を描いたり、飽きずに泥んこ遊びをしたり。
それを「汚いでしょ」「汚れるから」とやめさせていては、新しいことに向かう気持ちや、やる気をそいでいってしまいます。
遊びから、子供は学んでいくのです。4、5歳のころの遊びは、最も効率の良い学習で脳を鍛えてくれます。
スマホやタブレット、ゲーム機での遊びではなく、五感を使った遊びを、たくさんさせてあげましょう。そこで親が分かっておかないといけない大切なことがあります。
大人と子供の遊びは、根本的に違うということです。大人は仕事や学習の息抜きに遊びます。子供が脳を鍛えていく学習としての遊びとは大きく違うのです。
それを分かっておかないと〈大人だって~したいから、子供にもさせてやらないと〉と、同じ基準で遊ばせることが良いとは限らないのです。
「パパがゲームが好きで、休みの日は子供と一緒に何時間でも遊んでくれるんです」。これでは大人の息抜きに、子供を付き合わせているだけで、なおかつ、子供の視力やゲーム機で遊ぶ時間を守らせることなどを考えていない、大人の勝手な自己満足です。
大人が自分の楽しみの遊びをするのは構いませんが、子供を付き合わせて〈子供のためになっている〉と、勘違いしないように。親になったのなら、子供の成長を大切にする遊びをさせるようにしましょう。
『芸生新聞』2019年7月1日付掲載
臨床心理士の考える子育てのヒント
1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。
川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師