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コラム
児童期編その5「自分のカバンは自分で持たせよう」
親子コミュニケーション
時折、親子で、学校から帰ってくる姿を見かけた際に、ママが子供のランドセルを持っている姿を見かけることがあります。
たまたま一緒になったのか、帰りに、お稽古事に連れていくためなのか、いずれにせよ、子供が熱を出してお迎えに行った帰りなら、それもいいでしょうが、元気でいる子なら、親がランドセルを持つのはおかしいですね。
幼稚園児でも同じです。園庭で遊んでいる間に、ママがカバンを持ってあげるのならいいのですが、そのままママが持って帰ってあげることをしては、自分の持ち物を自分で管理することができない子になってしまいます。自分のカバンやランドセルは、自分で持たせましょう。
まだ小さいからと、おじいちゃんおばあちゃんが持ってあげようとすることがありますが、これもしないようにしてもらいましょう。
子育ては、子供が自分でできるようになる力を付けていくことです。〈体が小さいのに、カバンが重くてかわいそう〉と思うと、子供が育ちません。
自分の荷物を大人に持ってもらってあたり前で育ち、中学生になってから「重いから学生カバンを持ってくれ」と言われたらどうでしょう。
「中学生なら自分で持ちなさい」って言うからだいじょうぶですか? 「え~、持ってよ」と、文句たらたら言われたとしたら、それは自分の物は自分で持つのが当たり前の感覚が育っていないということです。
この年齢の時には、こうなってほしいという形は、逆算して幼い時から始めていかなければならないのです。先を見据えるのも、〝親力〟なのです。
『芸生新聞』2019年11月4日付号掲載
臨床心理士の考える子育てのヒント
1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。
川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師