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コラム
児童期編その8「親が心配すると、子供も心配ばかりする」
親子コミュニケーション
登校する時は、近所の高学年のお兄さんやお姉さんたちと一緒に集団登校し、下校はパラパラで、低学年でも、数人や1人で帰ってくる地域もあるでしょう。
1年生で、入ったばかりの時は、心配に思うママもいるでしょうが、急な飛び出しをしないことや信号を守ることなど、基本的な通学のルールができるなら、過剰な心配はやめましょう。
親が心配していると、子供も心配ばかりする子になります。心配ばかりする子は、自信を持てません。挑戦することを
怖がります。やる前から〈無理!〉と思ってしまいます。〈そんな子供にはなってほしくない〉とは思うものの、「だって心配なんです」と言われるママは、よくいます。
親ですから、子供のことは気にはなって当たり前。ですが、永遠に、子供を見守り続けることはできません。自分で考え、判断できる、自立した人間に育てないといけないのです。何度も繰り返すことになると思いますが、〝親力〟とは、子供が自立した人間に成長させていけるようにすることなのです。
なので、何事もなく、つつがなく、ケガや病気をすることなく、成長させることが目的ではありません。何か困ったことが起こっても、ケガをしても、それでも何とかなる、だいじょうぶ、生きていける、ということを伝えていく側の親の方が、心配していては、更に子供が不安になるでしょう。
あなたが今まで生きてこられたように〈この子も、何とかやっていくだろう〉くらいの思いでいてほしいものです。
『芸生新聞』2020年3月2日付号掲載
臨床心理士の考える子育てのヒント
1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。
川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師