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特別編「子供を育てる皆さんへ」

親子コミュニケーション

 昨年の終わりから、恐ろしい新型コロナウイルスの流行が、全世界を震撼させています。先進国で多くの死者を出し、医療危機、医療崩壊といわれる状況が現実のものとなり、「家から出ないでください。学校も休校、職場もテレワーク・リモートワークをしてください」という事態になりました。

 阪神・淡路大震災や東日本大震災、各地であった地震や台風災害を経験している大人でも、こんなことが起こるなんて、と未曽有の出来事です。映画やドラマのようなことが現実に起こってしまい、学校に行けなくて困る、職場にも行けなくなっただけでなく、収入も激減、あるいは無くなった、などなど、困った状況に置かれた方々がたくさんいらっしゃいます。

 今まで、私がここに書いてきたことは、こんな大変な状況は、いつやってくるか分からない。そしてどんな状況でも、我が子を強く、生きていける人に育てないといけない、ということなのです。

 政府が、行政が、学校が、雇用主が、と、誰かの文句を言いたてて、他人のせいにして、自分の努力、できることをしないままで、いいはずはありません。

 まずは、命を守る行動、自分が、家族、社会を守るためにできることをする。デマや不安をあおる行為に振り回されず、冷静な判断をすることです。それができる大人(親)であってほしいですし、そのように動ける人になるように、子供を育ててほしいと思います。

 命があれば、何とかなります。不平不満を並べるばかりでなく、知恵を絞って、考えて、自分のできることを見付けられる、そんな人間に育ててほしいのです。それが、現実的に〝生きていく力を付ける〟ということです。「子供は国の宝」と言われるのは、未来をつくっていくからなのです。ほんとうの意味での、強い人間に育ててほしい。これが、私からのお願いです。

『芸生新聞」2020年5月18日付号掲載

臨床心理士の考える子育てのヒント

1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。

川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師

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