暮らしを彩る出版社
コラム
児童期編その11「我が子ができるように手をかける」
親子コミュニケーション
前項で、手をかけることと甘やかしは違うと書きました。それについて、お話ししていきたいと思います。
手をかけるのは、我が子ができるようになるための手助けをすることです。いつか、この子ができるようになることを目標にして、少しずつでも、できるようになっていけるように、見守る目を持っていることです。〝するように言った、やり方を教えた、だから、できるでしょ〟とは違うのです。
例えば、時間割りの教材の用意なら、初めはママと一緒に、教科書とノートをランドセルに入れるようにしていたことを、ママが手を出さず、時間がかかってでも、一つ一つ自分で確認できるようになる。そして、次第に早くできるようになる、それが、習慣化していくということです。
ママが見なくてもできるようになっていく過程が、手をかけることです。甘やかして、ずっと親が時間割りどおりに代わりに用意してあげていては、本人が自分でできるようにはなりません。
「甘やかしてはいけないと思って、自分でさせるようにしてきました」と言われる親御さんがいますが、それで子供ができていなかったら、それは、甘やかさなかったのではなく、親が手をかけてこなかったからかもしれません。
やり方を教えて、すぐできる子と、なかなかできない子がいることもあるでしょう。事柄によっても違うでしょう。
「甘やかしてはいけない」という名の、親の手抜きにならないよう、〝親力〟を上げていきましょう。
『芸生新聞』2020年7月6日付号掲載
臨床心理士の考える子育てのヒント
1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。
川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師