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コラム
児童期編その15「〝男の子(女の子)らしく〟と怒らない」
親子コミュニケーション
男の子と女の子との違いは、公園で遊んでいる時、家での様子を聞いた時に、よく言われることです。
男の子は、おおむね女の子よりも活動的で、動く範囲も広いです。女の子は、洋服や髪型、アクセサリーに興味を持ったり、鏡に自分を映して楽しんだりする子が多いです。
今の時代は、男女の差別をしてはいけないと公に言われるようになりました。ひところはやった「草食系男子」「肉食系女子」という単語があるように、男っぽさや女っぽさの価値観は、昔と違っていて、男女差がなくなってきているのかもしれません。
それでも明らかに、生物学上の違いがあり、できることが違うのですから、男の子と女の子の違いを分かって子育てしましょう。
まず、注意する時に、「男の子(女の子)でしょ!」と言って怒るのはやめましょう。男(女)だから、してはいけないことって何でしょう? 男の子だって、痛かったら、悔しかったら泣きますし、女の子で家事が嫌いなことだってあるでしょう。
親がしてほしいことをしなかったからと叱る時に言っただけでは、直してほしいことの真意が伝わりません。しかも「男の子(女の子)らしくない!」と怒られると、その性であることにいやな気持ちになってしまいます。
逆に「さすが男の子だね、力が強いね」「よく気が利く女の子だね」。これなら言われた子供は、うれしく誇らしく思うでしょう。褒める時には、男の子(女の子)らしいと言われてもいやじゃない。
ただ男の子でも、家事をできるように育てた方がいいですし、女の子でもバリバリ働く意欲は持ってほしい。それは、男(女)だからではなく、人としてつけてほしい力です。
何が本質かを見極めて、言葉を掛けられるのが親力なのです。
『芸生新聞』2020年11月2日付号掲載
臨床心理士の考える子育てのヒント
1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。
川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師