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児童期編その19「一人で子育てをしている気分にならないように」

親子コミュニケーション

 夫の仕事の事情で、一人で子育てをしているのと変わらないという方もいらっしゃるでしょう。単身赴任でも、月に1度は帰ってこられるのならまだいいのですが、「海外なので、そうは帰ってこられない」とか「単身赴任ではないが出張が多い」「早朝出勤で夜遅い帰宅になる」、あるいは「子供が登校した後に起きてくる」。そんなパパだと、一人で子育てをしている気になってしまうのも仕方ないかもしれません。ただ、そこが問題なのです。

 たとえ不在のことが多くても、「パパは、こんなお仕事をしている」とか、「パパが帰ってきたら、一緒にご飯食べようね」「お休みの日に○○へ行こうね」と、ママがパパのことを伝えることはできます。

 また、今はパソコンやスマートフォンを使って、相手の顔を見ながら通話できるので、工夫次第で距離が遠くても、父親の存在を身近に感じさせることはできるはずです。

 パパが不在の時に、ママがパパの悪口やグチを、子供に言ってはいけません。不在の時こそ、パパの素晴らしさや頑張って仕事をしていることを伝えていきましょう。すると男の子は〈パパのようになろう!〉と、女の子は〈パパのような男性は素敵だ!〉と思うでしょう。

 パパの方からの働き掛けも大切です。赴任や出張で出掛ける前に、男の子なら「ママを守ってあげてね。男と男の約束だから頼んだよ」と言うと、たくましい子になるでしょうし、女の子には「パパがいなくて、ママは大変だから助けてあげてね」と頼むと、優しい子になるでしょう。

 子供が小さい頃から、こうして育てていくと、人を思いやる感情が芽生えます。大人になって、親のことを気遣えるようになるのは、そのように、育ててきたからです。子供

が大人になり、また、子供を育てる時に、〝親力〟のある人であってほしいですね。

『芸生新聞』2021年4月5日付号掲載

臨床心理士の考える子育てのヒント

1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。

川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師

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虚心坦懐(きょしんたんかい)

素直さは成長のカギです。先入観を捨て無心で物事に取り掛かりましょう。