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児童期編その20「多少の人間関係のトラブルは、あって当たり前」

親子コミュニケーション

 高学年になっていくと、子供社会の中で「お友達とケンカした」「仲間に入れない」「こんなことを言われた」などと、人間関係のトラブルが増えてきます。本人がママに相談することもあるでしょうし、先生から話を聞くこともあるでしょう。

 あからさまないじめならともかく、多少のトラブルや人間関係の悩みは、あって当たり前。子供同士のいじわるやからかいは、あるものなのです。〈うちの子が傷ついた〉〈トラウマになったらどうしよう〉と、心配になるところですが、過剰に反応しないようにしましょう。

 1、2歳の頃は、〈転んだらどうしよう〉〈転ばないように〉と気を付けていても転びます。それを、〈転んだ! 一大事!〉とは思わないでしょう。転ぶことだってあると分かっているからです。それと同じで、多少の人間関係の困り事は、あるのが当たり前なのです。それを経験して、子供は学んでいきます。口で教えて分かることではないのです。

 大事な子供のこととはいえ、「子供の心の傷が……」「悩んでいるのはかわいそう」と、感情的になりすぎる親が増えました。子供が話してきたら聞いてあげればいいし、一緒に考えてあげたらいいでしょう。少し見方を変えれば、悩むのも大事なことで、かわいそうなことでもなければ、それで心の傷が治らないほど子供も弱くはありません。弱くさせているのは当の親なのかもしれません。

 今は、〝ストレスは悪いこと〟〝トラウマにならないように〟という風潮が強く、かえって窮屈に、必要以上に考える親が増えたようにも思います。子供の悩む気持ちは酌んであげたとしても、親が頭を抱え込んでしまったり、ムキになったりせず、どんと構えておきましょう。

 自分の子供時代に悩んでいたことは、どれも、いつかは何とかなってきたでしょう。そんな体験に立って、余裕を持っていること、それが、強い子にする〝親力〟です。

『芸生新聞』2021年5月3日付号掲載

臨床心理士の考える子育てのヒント

1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。

川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師

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