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思春期編その5「締め切りを守ろうとする感覚や達成感を養うために」

親子コミュニケーション

 過度に心配し過ぎる親とは逆に、「もう親の言うことを聞かないし、『ウザい』と言われるから放っておくんです。自分で困った時に分かるだろうから」と、言われる親御さんがいます。

 本当に困れば自分で学んでいける子ですか? そのまま必要なことを身に付けられず、できないまま成人していくことはないですか? 親の方が面倒くさがって、〈本人が困ったら分かるだろう〉という、体のいい言い訳をして逃げていませんか?

 もう一度振り返って、今の時期に身に付けてほしいことができているか、考えてみてください。宿題や提出物を出さないことを、「先生に怒られたらいいんです。言ってもしないから」と放っておいて、親の気分で「宿題したの?」と聞くだけで、〈それでもしないこの子が悪い〉と感情的になっていませんか?

 親に反抗しながらも、結局はギリギリになってでもする子はいいのですが、毎回出せないままなのを知っていて、それでも放っておくのなら、それは親の怠慢です。日々どんな宿題が出ているか分からなくても、夏休みなど長期休みなら、課題の一覧が出ることが多いでしょうから分かります。

 子供も親も気にはなっているのですから、そのままにせず、家事や仕事が忙しくても、わが子のために宿題の有無のチェックや仕上がり具合を確認して、ねぎらうくらいはしてあげましょう。子供がする気で取り組めて初めて、締め切りを守ろうとする感覚や達成感も学べるのです。

『芸生新聞』2022年3月7日付号掲載

臨床心理士の考える子育てのヒント

1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。

川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師

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虚心坦懐(きょしんたんかい)

素直さは成長のカギです。先入観を捨て無心で物事に取り掛かりましょう。