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コラム
思春期編その7「反抗期が来ても、気長に見守り続ける姿勢を」
親子コミュニケーション
今は大人でも子供でも、分からないことがあると、すぐにスマートフォンやタブレットで答えを見つけられるようになりました。大人ならよく経験する「ほら、あれ、えーっと、なんて名前だったっけ」とか「あの映画に出てた人、誰だったっけ」というような場面でも、サクサクッと調べて、「これです」と正解を出せるようになりました。
半面、思い悩むことなく、すぐに答えが出ることに慣れると、大人も子供も、我慢ができなくなってきたように感じます。子育ては、そうはいきません。すぐに結果は出ませんし、正解といえるものにたどり着くのも難しいのです。
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人間の成長には時間が必要です。どうしていいのか分からなくても、〈これ!〉という正解はないですし、〈あっちにした方が良かったんじゃないか〉と後悔することもあります。
スマホで答えを検索するように、子育ては解答がすぐに出るわけではありません。親だから子供のことが気になるのは当たり前、すぐにどうしていいのか分からずに悩むのも当たり前です。
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だからこそ待つことができない現代では、親の忍耐が更に必要になってきたといえるのかもしれません。成績がすぐに上がらなくても、反抗期がやってきても、気長に見守り待つ姿勢を心掛けることで、親力が培われていきます。
『芸生新聞』2022年5月2日付号掲載
臨床心理士の考える子育てのヒント
1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。
川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師