暮らしを彩る出版社
コラム
思春期編その19「心にエネルギーを補給する」
親子コミュニケーション
子供が中高生になると、親はパートに出たり、勤務時間を増やしたり、場合によっては介護が始まったりと、忙しくなってくる人も多くなります。仕事、家事、子育て、介護など、行うことの多さに疲れたりもするでしょう。
加えて反抗期や何か問題が出てくると、頭がいっぱいになってしまいます。〈どうしたらいいんだろう〉〈うまくいかない〉〈忙しい〉、いろいろな思いが交錯して疲れ切った状態でいる人にお会いすると、私は「何か楽しみはありますか?」と、お聞きします。
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気持ちが消耗しているのはエネルギーが切れている状態ですから、補給してあげる必要があります。それが、〈楽しい〉という気持ちです。休みの日にウインドーショッピングをしたり、友達とランチに行ったり、映画を見たりして外に出かけることや、好きな音楽を聞く、DVDを見る、本を読むといった室内でできること、どちらもある方が、その時の自分の状況に合わせられるのでいいでしょう。
自分にエネルギーが入り、気分転換が図れると、子供に影響を及ぼすことができます。親が何かをうれしそうに楽しむ姿は、子供に〈いいなぁ、そんな大人になりたいな〉と思わせる力にもなります。
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趣味や好きなことにワクワクすること、ときめいてドキドキする対象物があるということは、それが頑張れる力となり、自らの癒やしとなり、同時にその姿を見ている子供にも、元気やポジティブシンキングを与えることになります。
もちろん、子供や家のことを放ったらかしにして、好きなことばかりするという意味ではありませんので、ご注意を。
『芸生新聞』2023年5月1日付掲載
臨床心理士の考える子育てのヒント
1998年から中学校のスクールカウンセラーを始め、現在、兵庫県内の小・中・高で生徒、教師、親の相談を受けている。こころの悩み相談「コミュニケーションズサポート」代表。PL学園高等学校卒業。
川嵜由起美(かわさきゆきみ)臨床心理士・公認心理師